個人事業主の主な節税方法まとめ

個人事業主の節税方法

まずは所得税の計算方法をおさらい

個人事業主のための主な節税方法をまとめました。
まずは個人事業主の所得税の計算方法をおさらいしましょう。

所得税の計算式
収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 = 所得税額
>> 所得税の計算についてもっと詳しく

所得税はこのように算出するので、本年度分の節税をするためには、
基本的に今年計上できる必要経費を増やすか、所得控除を増やすということになります。
住民税にも、この必要経費や所得控除が適用されます。

このページでは、前半は必要経費を増やす方法、後半は所得控除を増やす方法を紹介しています。
利益がたくさん出た場合に節税に効く方法を紹介していますが、個々の状況に合ったきめ細やかな対応をするためには、 お金のプロであるファイナンシャルプランナーに節税や資産運用の相談をしてみることをおすすめします。
>> ファイナンシャルプランナーの診断サービスについて - 保険マンモス

経営セーフティ共済に加入する - 必要経費

掛金月額計上方法合計限度額
5,000円~200,000円全額経費800万円(40ヶ月分)

まず、まとまった金額を全額その年の経費に計上できるのがセーフティ共済です。 正確には中小企業倒産防止共済という名称で、経営セーフティ共済・セーフティ共済などとも呼ばれます。

月額掛金の上限は20万円。払い込んだ月数分、その年の経費にすることができます。
翌年1年分の前払い分もその年の経費にすることができるので、
初年度は最大で24ヶ月分、金額にして最高480万円をその年の経費にすることができます。

掛金総額の上限は800万円(40ヶ月分)

解約すれば、掛けた金額が解約手当金として戻ってきます。 ただし、納付月数が40ヶ月経つまでに解約すると100%戻ってこないので、その点は注意が必要です。 また、解約手当金は利益となります。つまり、掛金を払う際には経費として計上できるが、 戻すときは個人事業の所得が増すことになり、課税を繰り延べることになるわけです。

フリーランスの方は、自分の働き加減によって所得が多くなる年もあれば芳しくない年もあるかと思いますので、 もしもの時の備えとして資金をプールしておくという発想で使える共済です。

この共済の本来の目的は、取引先が倒産してしまった場合にスピーディな融資を行うことで、 倒産の連鎖を防ぐというものでしたが、節税目的でも用いることができます。 中小企業だけでなく、個人事業主も加入できます。 将来的に法人化する場合には、会社へ契約を引き継ぐこともできます。
>> 経営セーフティ共済の詳細はこちら

少額減価償却資産の特例を利用する - 必要経費

10万円以上の高額な消耗品は、まず資産に計上し、減価償却費として 毎年少しずつ償却(経費処理)することになります。その年の経費として一括で処理することができません。 しかし、30万円未満のものであれば、一括でその年の経費にすることができます。 これを「少額減価償却資産の特例」と呼びます。

この特例により、事業の必需品で30万円未満のものを一括で償却することができます。 ただし、この特例を受けるためにはいくつかの条件があります。

  • 青色申告者であること
  • 合計限度額は300万円
  • 2018年(平成30年)3月31日までの間に購入したもの

また20万円未満のものであれば、3年で償却する「一括償却資産」として計上することもできます。 高額資産の計上方法については、こちらにまとめています。 >> 高額資産の計上方法まとめ

短期前払費用の特例を利用する - 必要経費

前払費用というのは翌期の経費の前払いなので、原則的には当期の必要経費としては参入できません。 しかし、一定の要件を満たした前払費用については、当期の必要経費として計上することができます。 (短期前払費用の特例)

サービスの対価として前払いした費用を当期の必要経費として認められるには、以下全ての要件を満たす必要があります。

  • 当期中に支払いが済み、支払った日から1年以内に提供を受けるサービス
  • 一定の契約に従って、継続的にサービスを受ける(等質等量のサービス)
  • 今期だけでなく、今後も毎年継続して前払いをする
  • 支払ったものが収益と対応するものではないこと(売上原価となる経費等はNG)
  • 支払い額がそこまで大きくなく、重要性の低いもの

例えば、インターネットのレンタルサーバー料金を月契約から年契約に変更して決算月に支払ったり、 保険料や事務所の家賃を年払い契約に変更して、向こう1年分を支払って経費にすることができます。

ただし、上記の要件にもある通り、一度年払いにすると毎年継続して同じ計上方法をとる必要があるので注意しましょう。 毎年コロコロと計上方法を変更することはできません。(節税効果があるのは最初の1回目だけということ) 来期以降も同様の支払い方で、資金繰りに問題がないかを検討して決める必要があります。

青色申告特別控除 - 所得控除

ここからは所得控除を増やして節税する方法です。まずは基本のキとも言える「青色申告特別控除」。このページをご覧の方は、ご存知の方も多いのではないでしょうか。青色申告者に適用される特典で、控除額は10万円と65万円の2種類があり、簿記の方法によって控除額が変わります。

簡易簿記、もしくは現金式簡易簿記の場合には10万円控除、複式簿記で正しく記帳すれば65万円控除が受けられます。 >> 簡易簿記・現金式簡易簿記・複式簿記の違いについて

65万円控除を受けるためには、厳密には以下3つの要件を全て満たす必要があります。

  1. 不動産所得・あるいは事業所得を得る事業を営んでいること
  2. 正規の簿記(複式簿記)で記帳していること
  3. これらに基づいて、確定申告の必要書類を法定申告期限内に提出すること

>> 青色申告特別控除の詳細はこちら

小規模企業共済に加入する - 所得控除

掛金月額控除の内容合計限度額
1,000円~70,000円全額控除
小規模企業共済等掛金
満期や満額なし

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の役員が共済金を積み立てて、 退職時などにそれまで積み立てた共済金を受け取れる共済制度のことです。

掛金は月額で最高7万円まで、年間にして84万円です。 「小規模企業共済等掛金」として掛金の全額が所得控除されるので、節税金額としては大きいです。

解約をすると、掛けたお金が解約手当金として戻ってきます。 ただし、掛金納付月数が240ヶ月(20年)以上にならないと解約手当金が100%以上にならないので、 長期で継続的にお金を積み立てていける個人事業主に向いたものです。

ちなみに、小規模企業共済にかぎらず、控除のために支払った金額は、個人事業の帳簿に記帳する必要はありません。 確定申告書に控除額を記入して、支払いの証明書を添付すればOKです。
>> 小規模企業共済の詳細はこちら

個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する - 所得控除

掛金月額控除の内容加入要件
5,000円~68,000円全額控除
小規模企業共済等掛金
20歳〜60歳未満

確定拠出年金とは、公的年金に加えて給付を受けられる私的年金のひとつです。 国民年金基金のように、国民年金の上乗せとなる私的年金で、日本版401k・DCとも呼ばれます。

確定拠出年金は、企業型と個人型の2種類があります。 個人事業主は、個人型に入れます。この個人型確定拠出年金は、親しみやすくするためにiDeCo(イデコ)という通称がつけられています。

個人事業主の場合、掛金は月額で最高6万8,000円、年額にして81万6,000円です。 こちらも小規模企業共済と同じく、全額を所得控除できますが、60歳まで掛金を引き出せないというデメリットがあります。 こちらも、長期でお金を積み立てていける方のための制度です。

個人事業主は、20歳〜60歳未満の方であれば加入できます。 (厚生年金に入っていれば20歳未満でも加入できますが、個人事業主の場合は当てはまりません)

生命保険・介護医療保険・個人年金に加入する - 所得控除

掛金月額控除の内容備考
任意それぞれ最高4万円控除
生命保険料控除
4万円 + 4万円 + 4万円 = 最高12万円

ここで紹介する生命保険、介護医療保険、個人年金は、生命保険料控除として、それぞれ最大で年間4万円控除されます。 生命保険4万円、介護医療保険4万円、個人年金4万円で、合計最大12万円です。 これまでに紹介してきた所得控除の中では少額ですね。

今から加入する方は、それぞれ以下のような形で控除を受けることができます。 例えば年間の支払い保険料が1万8,000円の場合は、1万8,000円が全額控除されます。 しかし、年間で8万円以上保険料を支払う場合は、いくら多くても控除額は4万円となります。

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下全額
20,000円 ~ 40,000円支払保険料等 × 50% + 10,000円
40,000円 ~ 80,000円支払保険料等 × 25% + 20,000円
80,000円超一律40,000円

生命保険料控除の対象になる、生命保険・介護医療保険・個人年金保険は、 いずれも納税者が任意で保険会社と契約した一定の保険のことを指します。 (国民年金や国民健康保険料はこれに該当しません。これらは社会保険料控除に当てはまります。)

>> 生命保険料控除の詳細はこちら

社会保険料のまとめ払い - 所得控除

過去に払いそびれていた国民年金があれば、それをまとめて支払うことで全て本年度分の所得控除にすることができます。 国民年金の後納制度により、2015年(平成27年)10月から2018年(平成30年)9月までの3年間に限り、過去5年分まで納めることができます。

例えば、2014年から2016年まで、過去3年分の国民年金を納付していなかった場合、 2017年にその3年分と、2017年分の国民年金保険料を支払えば、合計4年分の国民年金保険料を、2017年度分の社会保険料控除として控除の対象にできます。

また、2014年(平成26年)4月から国民年金保険料の「2年前納」制度が始まりました。 この前納した2年分の国民年金保険料の全額を、その支払った年分の社会保険料控除の対象にすることもできます。 納税者は、①納めた年に全額控除する方法と、②各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法、 どちらかを選択することができます。

>> 社会保険料控除について - 国民年金と国民健康保険

ふるさと納税する - 所得控除

ふるさと納税は、節税というよりは、利益が多く出た事業主がおみやげを受け取れるような制度です。 ふるさと納税の返礼品は非常に豊富なラインナップになっているので、所得が多い方はこの制度を利用しなければ損とも言えます。 ふるさと納税として支払ったお金は、寄附金控除として所得控除の対象となります。

例えば、所得が500万円になった個人事業主は、 地域に50,000円の寄付をして、実質2,000円の負担で返礼品などを受け取るというようなことが可能です。 この返礼品の種類が幅広く、食料品から家具、旅行券、家電製品まで、 しっかり探せば必ず欲しい物が見つかるという程に充実しています。 もちろん、地域振興・活性化がメインテーマですので、この趣旨に沿って応援したいふるさとに寄付するのも良いでしょう。

ふるさと納税と寄付金控除の仕組みについては、下記ページをご参照下さい。
>> ふるさと納税の仕組みについて - 寄附金控除

>> 最適な節税方法をファイナンシャルプランナーに相談 - 保険マンモス
>> 個人事業主の所得控除一覧
>> 個人事業主の税金まとめ - 主な税金の納付時期や計算方法について