発生主義と現金主義の違い

発生主義と現金主義の違い

発生主義とは?現金主義とは?

発生主義とは、「現金の収入や支出のタイミング」には関係なく、
「収入や支出の事実が確定した時点」の日付で計上する会計方法のこと
を指します。
逆に、現金主義とは「現金の収入や支出のタイミング」の日付で帳簿をつける方法を指します。

例えば、1,000円の消耗品をクレジットカードで購入する場合で考えてみましょう。
4月18日に消耗品を購入し、決済したとします。
そして実際に事業用口座からお金が引き落とされるのが、5月20日であるとします。

この場合、発生主義であれば、取引が確定した4月18日の日付でまず帳簿づけします。
そして、5月20日に実際に引き落としたがあった日付でも帳簿をつけます。
この取引では、合計2回帳簿づけをするわけです。

一方、これを現金主義で帳簿づけする場合には、
5月20日に口座からお金が引き落とされた日付だけで記帳をします。
現金主義は簡単ですね。お小遣い帳と同じ感覚です。

複式簿記での帳簿づけ例

この取引を複式簿記で表すと以下のようになります。
この借方・貸方というのは、複式簿記の場合の仕訳方法です。

発生主義の場合

まず、取引が確定した日付で以下のように帳簿付けします↓
消耗品を購入したが、まだ実際にお金は引き落とされていない状態を、「未払金(ミハライキン)」という勘定科目をつかって表します。

日付借方貸方
4月18日消耗品費 1,000円未払金 1,000円

その後、実際にお金が引き落とされた日付で、以下の仕訳を追加します↓
これは、未払いだったお金が実際に預金から引き落とされたことを表します。

日付借方貸方
5月20日未払金 1,000円預金 1,000円

発生主義の場合は、取引が確定した時点と、お金の動きがあった時点で、
上記のように2回帳簿づけをすることになります。

現金主義の場合

現金主義の場合は、取引の発生のタイミングは関係ないので、
実際に現金の動きがあった時だけ計上します。

日付借方貸方
5月20日消耗品費 1,000円預金 1,000円

同じ内容の取引でも、現金主義の場合はこれだけでOKです。

仕入れや、他の経費でも同じように計上します。
発生主義で経費の計上には「未払金」などの勘定科目を使います。

ただし、実際にお店へ行ってその場で現金購入する場合などは、
取引の確定日と現金の支払い日が一緒のタイミングになるので、
発生主義でも2回帳簿づけをする必要はありません。

白色申告でも青色申告でも、基本は発生主義

白色申告でも青色申告でも、基本的に発生主義で経費をつける必要があります。
青色申告で65万円控除を受けるためには、もちろん発生主義で帳簿付けをする必要があります。

>> 売上はどのタイミングで計上する?実現主義と計上基準の種類

詳しくは後述していますが、
現金主義による記帳が認められるのは、青色申告で条件を満たした場合のみです。

白色申告青色申告10万円控除青色申告10万円控除
(現金式)
青色申告65万円控除
発生主義発生主義現金主義発生主義
単式簿記単式簿記単式簿記複式簿記

>> 3種類の青色申告を比較- 簡易簿記・現金式簡易簿記・複式簿記
>> 単式簿記と複式簿記の違い

現金主義による所得計算の特例

発生主義はメンドクセー!どうしても現金主義で帳簿をつけたい!という場合には、
下記3つの条件を全て満たせば、現金主義で帳簿付けをすることができます。
(この場合は青色申告の65万円控除は受けられません。10万円控除になります。)

  • 青色申告であること
  • 小規模事業者であること(前々年の合計所得が300万円以下)
  • 事前に届出を出していること

青色申告であること

白色申告では、現金主義による記帳が認められていません。
現金主義で帳簿付けをするには、青色申告であることが条件となっています。

小規模事業者であること

小規模事業者とは、前々年分の所得が300万円以下である事業者のことです。
(収入 − 経費 = 所得)
この場合の所得とは、不動産所得と事業所得の合計金額です。
事業専従者給与(控除)の額を必要経費に算入しないで計算した金額です。

事前に届出を出していること

「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を税務署へ提出する必要があります。
A4サイズで、計2ページの申請書です。適用を受けようとする年の3月15日までに提出してください。 (その年の1月16日以後に新たに開業した場合には、開業した日から2ヶ月以内)

例えば、平成28年度分の会計(平成29年2月16日~3月15日に確定申告する分)を現金主義でつけるには、 平成28年の3月15日までに届出を税務署に提出しておく必要がありました。

>> 複式簿記の知識なしで青色申告65万円控除を狙うには?
>> 白色申告・青色申告10万円控除・65万円控除の納税額の違い
>> 白色申告の帳簿づけについて
>> 青色申告の帳簿づけについて