簡易課税の事業区分をわかりやすく!第1種~第6種の判定方法・みなし仕入率
更新日 2026年9月04日

消費税の簡易課税制度では、売上を第1種~第6種に区分します。区分ごとに「みなし仕入率」が異なり、消費税の納付額も変わってきます。本記事では、簡易課税の事業区分とみなし仕入率をわかりやすく解説します。
>> そもそも簡易課税制度とは?
- 簡易課税の事業区分とみなし仕入率
- 事業区分の具体例【第1種~第6種】
- 第1種|卸売業
- 第2種|小売業など
- 第3種|製造業・建設業など
- 第4種|飲食店業など
- 第5種|サービス業など
- 第6種|不動産業
- 複数の区分で売上がある場合は?
簡易課税の事業区分とみなし仕入率
簡易課税制度では、課税売上を事業の内容に応じて第1種~第6種に区分します。それぞれの事業区分には、次のように異なる「みなし仕入率」が定められています。
| 主な事業 | みなし仕入率 | |
|---|---|---|
| 第1種 | 卸売業 | 90% |
| 第2種 | 小売業、農家や漁業者による食品の販売など | 80% |
| 第3種 | 製造業、建設業、農業、漁業など | 70% |
| 第4種 | 飲食店業など | 60% |
| 第5種 | サービス業、運輸通信業、金融業など | 50% |
| 第6種 | 不動産業 | 40% |
みなし仕入率は、簡易課税制度で消費税の納税額を計算するときに使います。簡単に言うと「1年間に受け取った消費税 × みなし仕入率の割合 = 仕入れにかかった消費税」と考えます。
- 簡易課税制度の計算方法
- 売上にかかる消費税 × みなし仕入率 = 仕入控除税額
売上にかかる消費税 - 仕入控除税額 = 納付する消費税額
なお、事業区分は事業者の業種だけで決まるものではなく、売上ごとに判断します。たとえば、飲食店が店内で料理を提供する売上は基本的に「第4種」ですが、自店で製造した冷凍食品を商品として販売する売上は「第3種」に区分されることがあります。
事業区分の具体例【第1種~第6種】
第1種|卸売業
- 食品を仕入れて飲食店や小売店へ販売する
- 衣料品を仕入れて販売店へ卸す
- 事務用品を仕入れて会社へ販売する
第1種事業には、仕入れた商品の性質や形状を変えず、他の会社や個人事業主に販売する事業が該当します。みなし仕入率は90%です。販売先が「一般消費者」ではなく「事業者」であることがポイントになります。
第2種|小売業など
- 仕入れた食品や日用品を一般消費者へ販売する
- 仕入れた衣料品をネットショップで一般消費者へ販売する
- 農家が生産した米・野菜・果物などを販売する
- 漁業者が水揚げした魚介類を販売する
第2種事業には、仕入れた商品を加工せず、一般消費者へ販売する事業が該当します。みなし仕入率は80%です。同じ商品でも、事業者へ販売すれば第1種、一般消費者へ販売すれば第2種になるのが基本です。
第3種|製造業・建設業など
- 仕入れた材料から家具や雑貨を製造して販売する
- パンや菓子を製造し、商品として販売する
- 建物の新築・増改築・修繕工事を請け負う
- 観賞用植物など、飲食料品以外の農産物を販売する
第3種事業には、製造業・建設業・電気業・ガス業・水道業などが該当します。みなし仕入率は70%です。また、農業や漁業のうち、食品の販売に当たらない事業も第3種に含まれます。製造した商品を一般消費者へ販売する「製造小売業」も、基本的に第3種です。
第4種|飲食店業など
- レストランやカフェで料理を提供する
- 居酒屋で飲食物を提供する
- 事業で使用していた車を売却する
- 事業で使用していたパソコンや機械を売却する
第4種事業には、飲食店業に加え、ほかの区分に当てはまらない業種が該当します。みなし仕入率は60%です。固定資産の売却は、本業の事業区分にかかわらず、原則として第4種事業に区分します。
第5種|サービス業など
- Webサイトの制作やデザインを請け負う
- コンサルティングや士業のサービスを提供する
- 美容室や理容室を営業する
- 写真撮影や動画制作を請け負う
- 運送・配送サービスを提供する
- 保険代理店として手数料を受け取る
第5種事業には、運輸通信業・金融業・保険業・サービス業(飲食店業を除く)などが該当します。みなし仕入率は50%です。サービス業者が商品販売も行っている場合は、サービスの売上と商品販売の売上を分けて判定します。
第6種|不動産業
- 店舗や事務所など事業用物件を貸し付ける
- 設備のある駐車場を貸し付ける
- 不動産の仲介手数料を受け取る
- 不動産の管理料を受け取る
第6種事業は不動産業です。みなし仕入率は40%です。なお、住宅の貸付けや土地の貸付けは、原則として消費税の非課税取引になります。簡易課税の事業区分を判断する前に、その収入が課税売上に当たるか確認しましょう。
複数の区分で売上がある場合は?
複数の区分で売上がある場合は、課税売上を事業区分ごとに分けて記帳します。それぞれの売上に対応するみなし仕入率が異なるためです。
たとえば、美容院がシャンプーなどを店頭で販売している場合は、次のように区分します。
美容院における売上の例
- カットやカラーの施術による売上 …… 第5種(みなし仕入率50%)
- 仕入れた商品の販売による売上 …… 第2種(みなし仕入率80%)
売上をきちんと区分していないと、そこに含まれる売上の区分のうち、最も低いみなし仕入率を使って計算することになります。上記の例で言うと、仕入れ商品のみなし仕入率も50%で計算することになるわけです。納付税額が増えてしまうので、日頃から売上の区分が分かるように記帳しましょう。
ちなみに、複数区分の売上がある場合でも、1つの区分の売上が全体の75%以上を占めていれば、その区分のみなし仕入率を全体に適用できる特例もあります。複数事業の詳しい計算方法については、以下の記事で解説しています。
>> 簡易課税制度の計算方法をわかりやすく解説
>> そもそも簡易課税制度とは?
>> 個人事業主の消費税まとめ【基本をおさらい】