100円未満・1,000円未満の切り捨て - 納税額の計算

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更新日 2023年2月04日

税金の端数切り捨てについて

本題に入る前に「未満」という言葉のおさらいですが、未満はぴったりの数を含めないので、「1,000円未満」の金額は「999円」を指します。「100円未満」の金額は「99円」です。

1,000円未満切り捨て・100円未満切り捨てについて

所得税、個人事業税、消費税、住民税、固定資産税など、多くの税金では、 課税標準額から1,000円未満切り捨て、納税確定額からは100円未満が切り捨てとなります。 (課税標準額とは、税率をかける前の金額。)

  • 課税標準額から1,000円未満切り捨て
  • 納税確定額から100円未満切り捨て

例えば、課税標準額が3,508,921円となった場合。 1,000円未満に当てはまる921円は切り捨てとなり、3,508,000円に税率をかけて納税額を算出することになります。

上記のように、納税する金額の場合は切り捨てとなります。逆に、還付を受ける場合(納めすぎた税金がもどってくる場合)には1円単位まで支払ってもらえます。つまり、納税者にとっては有利な税制となっているのです。

確定申告書類でも、端数切り捨ての項目には下のケタにあらかじめゼロが並んでいます。

課税標準額の下3ケタは切り捨て
(1,000円未満の切り捨て)
納税確定額の下2ケタは切り捨て
(100円未満の切り捨て)
課税標準額の下3ケタは切り捨て
納税額の下2ケタは切り捨て

所得税の計算例での切り捨て

所得税の計算例でみてみましょう。所得税は以下の計算式で算出します。 (税率と控除額は、課税所得金額に応じて決定します。 詳細はこちらを参照して下さい→ 所得税の計算方法について

所得税の計算式
収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 控除額 = 所得税額

売上 5,000,000円 経費 1,829,223円 控除額 520,000円の場合

5,000,000 − 1,827,223 − 520,000 = 2,652,777(課税所得金額)
2,652,777 → 1,000円未満切り捨て → 2,652,000
2,652,000 × 10% − 97,500 = 167,700(所得税額)

ちなみに、平成25年から令和19年までは、復興特別所得税(2.1%)も合わせて納税します。
(基準所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税額)
167,700 × 0.021 = 3,521(復興特別所得税額)

167,700円(所得税) + 3,521円(復興特別所得税) = 171,221円
171,221円 → 100円未満切り捨て → 171,200円(納付する税額)

特に、復興特別所得税は税率が2.1%で端数が出やすいので、 納税額の端数は切り捨てになることを覚えておくとよいでしょう。

消費税相当額の切り捨て、切り上げ、四捨五入について

上記の税金計算とは別に、商品の税込み価格を決定する際には、 商品価格に消費税を掛けて算出した金額の小数点以下を、どのように処理するのでしょうか?

結論から言うと、この処理はその事業者の任意で決めてよいことになっているので、 切り捨て・切り上げ・四捨五入、いずれにしてもOKです。

【引用】
「税抜価格」に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合がありますが、その端数をどのように処理 (切捨て、切上げ、四捨五入など)して「税込価格」を設定するかは、それぞれの事業者のご判断によることとなります。総額表示Q&A Q7 - 財務省

消費税相当額の1円未満は「切り捨て」にしている会社が多いです。どうするか迷ったら切り捨てにしておきましょう。

例えば、商品金額155円・消費税率10%の場合
155円 × 1.1 = 170.5円
この場合は、0.5を切り捨てて「170円」に設定している会社が多いということです。

>> 確定申告書の書き方・記入例【個人事業主向け】
>> 個人事業主の税金納付スケジュール
>> 所得税の計算方法・税率・控除額について