第1号,第2号,第3号,任意加入被保険者の違い

更新日 2024年4月04日

第1号,第2号,第3号,任意加入被保険者の違い

国民年金の被保険者は4つに分類される

国民年金は、昭和61年4月以降、すべての国民が加入しなければならない年金制度です。ひと口に国民年金と言っても、被保険者は年齡や職業などによって分類されています。次の4種類に分けられていますので、自分がどれに当てはまるのか理解しておきましょう。

第1号被保険者第2号被保険者第3号被保険者任意加入被保険者
概要国内に住所があり、第2号、第3号以外の人厚生年金や共済組合に加入している人第2号被保険者の配偶者で扶養を認められている人第2号、第3号以外の人で一定の条件を満たす人
職業等自営業者、農業者、学生、アルバイト、無職など会社員、公務員など主婦(夫)、パート条件によって異なる
対象年齢20歳以上60歳未満原則65歳未満20歳以上60歳未満条件によって異なる

第1号被保険者とは - 自営業者、学生、アルバイト、無職など

日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者・第3号被保険者のいずれにも該当しない人が、第1号被保険者になります。個人事業主や農業者のみならず、学生やフリーターなども20歳になった時点で加入が義務付けられています。

国民年金は、20歳から60歳までの40年間、保険料をちゃんと納付していれば老齢基礎年金を満額受給することができます。 しかし、納付している期間が短いと、その分だけ老後の受給額も減るという仕組みになっています。

「老後に年金を支給されるために、最低限、保険料の納付などをしておかないといけない期間」のことを「受給資格期間」と呼びます。この年金の受給資格期間は25年です。老後に年金を受け取るには、保険料の納付済み期間と免除期間などの合計で、25年以上は必要ということです。(平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。)

国民年金の保険料はみんな一律

国民年金の保険料は、収入に関係なく一律でみんな同じ金額を納める仕組みになっています。保険料の金額は、労働人口や平均寿命の伸び率により、年ごとに決定されます。2024(令和6)年4月から2025(令和7)年3月までの月々の保険料は、16,980円です。第1号被保険者は、毎月自分で保険料を納めることになります。なお、納付の仕方は、現金、口座振替、クレジットカードなどがあります。

保険料をまとめて前払いすると割引される

保険料を毎月ではなく、先の分までまとめて納めておくと、一定の割引が受けられます。

国民年金 - 令和6年度の振替方法別割引額

振替方法ごとの納付額・割引額・振替日 - 日本年金機構

国民年金の受給額について

第1号被保険者が20歳から60歳までの480ヶ月分満額を納付している場合、65歳から年間約80万円を受け取れます。ただし、無職の期間や学生で保険料を納めていない「未納期間」があると、その部分に対応する年金は受け取れません。未納の保険料は、2年間さかのぼって納付することが出来ます。(後納制度により、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、過去5年分さかのぼって納付することもできました。)

付加年金とは?

第1号被保険者や任意加入被保険者は、定額保険料に付加年金料(一律400円)を上乗せして納付することで、受給する年金額を増やすことができます。

付加年金について

月額保険料受付窓口年間受給額
月額400円(一律)市区町村役場の窓口200円 × 付加保険料の納付月数

例えば、付加年金保険料を30年間納付する場合は、合計で144,000円納付することになります。
(400円 × 12ヶ月 × 30年 = 144,000円)

これに対して、老後に受け取ることができる金額は72,000円(年間)です。
(200円 × 360ヶ月 = 72,000円)
この金額を通常の老齢年金に上乗せして、毎年受け取ることができるのです。 つまり、年金をもらい始めて2年で元がとれるコストパフォーマンスの高い制度と言えます。
>> 付加年金とは?受給額や控除などについて

第2号被保険者とは - 会社員、公務員など

厚生年金や共済組合などに加入している会社員・公務員で、原則65歳未満の人が第2号被保険者に当てはまります。また、日本国内に居住していなければならないという決まりはないので、日本法人の海外支店など、海外に居住している人も第2号被保険者に当てはまります。

保険料の納付方法

基本的には、給与から「厚生年金」として天引きされています。国民年金の部分は、厚生年金全体の「拠出金」として支払われています。なので、給与から厚生年金保険料を差し引かれることで、国民年金を納付したことになるのです。

厚生年金の加入者でも、国民年金の第2号被保険者ではない期間

65歳までは、厚生年金の加入者が国民年金の第2号被保険者と言えますが、65歳以降は厚生年金のみの被保険者となります。国民年金の第2号被保険者は65歳までという規定であるのに対し、厚生年金は70歳で資格を喪失するためです。ただし、65歳時点で受給期間を満たしていない場合には、満たした時点で第2号から外れることになります。

資格の喪失について

第2号被保険者が資格を喪失するのは、以下の場合です。

  • 死亡した場合
  • 会社や組合などを辞めた時

例えば、会社員を辞めて自営業になる場合は、国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者へ変更する手続きを行います。また、会社員を辞めて専業主婦になる場合は、第3号被保険者への手続きが必要となります。

第3号被保険者とは - 主婦(夫)、パート

会社員や公務員などの第2号被保険者の配偶者であり、扶養を認められている場合には、第3号被保険者となります。第3号被保険者の保険料は、納付する必要がありません。

第3号被保険者から外れなければならない場合とは?

  • 自分自身の年収が130万円を超え、第2号被保険者である配偶者の扶養から外れた場合
  • 第2号被保険者である配偶者が、退職した場合
  • 第2号被保険者である配偶者と、離婚した場合
  • 第2号被保険者である配偶者が、自営業になった場合
  • 第2号被保険者である配偶者が、死亡した場合
  • 第2号被保険者である配偶者が、65歳を超えた場合

冒頭のケースが、いわゆる「130万円の壁」です。アルバイトやパート勤務をしている主婦(夫)は、このラインを気にしなくてはなりません。これらにあてはまった場合は、その時点で第3号被保険者から第1号被保険者へ変更手続きをし、自分で保険料を納付しなくてはならなくなります。

資格喪失の手続き

  • 市区町村の年金窓口で、本人による「国民年金第3号被保険者 種別変更届」の届出が必要です。届出用紙は、窓口に設置している他、日本年金機構のホームページからもダウンロードできます。また、資格を失ってから14日以内に年金手帳を添えて手続きを行う必要があります。
  • 離婚した場合や、パートなどで130万円以上の年収があった人の場合には、配偶者である第2号被保険者の勤務先にも届け出をする必要があります。第2号被保険者が勤務する事業所に「被扶養配偶者非該当届」を提出してもらいましょう。

年収106万円以上の社会保険加入義務

年間のパート収入が130万円以下で、配偶者が第2号被保険者の場合でも、第3号被保険者から外れてパート先の社会保険に加入しなければならない場合があります。2016年から一部の大企業の社会保険加入条件が緩和されていて、下記の条件にあてはまる場合は、パート先での社会保険加入の義務が生じます。

  • 勤務時間が週20時間以上
  • 1ヶ月の賃金が88,000円以上(年収106万円以上)
  • 勤務期間が1年以上
  • 勤務先が従業員501人以上
  • 学生ではない(夜間・定時制を除く)

任意加入被保険者とは

国民年金は、40年間の納付で満額となりますが、未納などがあって受給できる金額が少なくなってしまう人のために「任意加入」という制度があります。「任意加入」をすることで、受け取る年金額を増額できるのです。また、受給資格期間25年を満たせない人の場合にも、年金受給権を獲得する為の「任意加入」が認められています。

任意加入被保険者の条件

国民年金の任意加入被保険者になれるのは、第2号被保険者、第3号被保険者以外の人です。次のいずれかにあてはまる人は、65歳まで任意で国民年金に加入することができます。ただし、すでに繰り上げ支給の老齢年金を受給している人は、加入することができません。

  • 日本国内に住む60歳以上65歳未満の人
  • 日本国籍を持ち海外に住んでいる20歳以上65歳未満の人
  • 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満で厚生年金や共済組合の老齢年金を受給できる人

任意加入者の特例

65歳に達した時に、老齢年金の受給資格期間を満たしていない場合は、最高70歳まで任意加入することができます。特例を受けることのできる対象者は以下の通りです。

  • 昭和40年4月1日以前に生まれた人であること。
  • 日本国内に住む65歳以上70歳未満の人
  • 日本国籍を持ち、海外に住んでいる65歳以上70歳未満の人

任意加入の手続き

市区町村の年金窓口で手続きをします。本人確認できる書類、年金手帳などの持参が必要です。また、任意加入の保険料は、原則的に口座振替のため、通帳と印鑑も必要になります。

>> 個人事業主の保険・年金・共済に関するまとめ
>> 個人事業主が納付する税金の仕訳一覧