更正の請求・修正申告・還付申告の違い
更新日 2024年8月29日
更正の請求とは?
更正の請求とは、確定申告にもとづいて納めた税金が多すぎた場合や、 還付される税金が少なかった場合に、税務署に税金の還付を請求することです。 「確定申告をしたけどやっぱり間違えていたので、税金を還付して下さい!」という請求です。(還付 = 納めすぎた税金が本人に戻ってくること)
- 一度、確定申告をしたが修正
- 税金を還付してもらうための申告
この2点が「更正の請求」のポイントです。
更正の請求の有効期間は、法定申告期限から5年以内です。 たとえば、2025年(令和7年)の確定申告期限(法定申告期限)は3月17日なので、 この時の確定申告の更正を請求するには、2030年3月18日(17日が日曜のため)までに手続きを行います。
修正申告とは?
修正申告とは、確定申告にもとづいて納めた税金が少なかった場合や、 還付される税金が多すぎた場合に、訂正して税務署へ申告することです。 「税金もっと納めなきゃいけなかったのに間違えてました!」という申告です。
- 一度、確定申告をしたが修正
- 納める税金が少なかった場合の申告
この2点が修正申告のポイントです。
修正申告の場合、なるべく早く税務署へ申告しましょう。 こちらが修正申告をするよりも前に税務署から間違いを指摘されると、 新たに納める税金の他に過少申告加算税がかかります。 これは「納めるべき税金をしっかり納めていなかったじゃないか」という、罰則的な税金のひとつです。
還付申告とは?
還付申告とは、確定申告書を提出する義務のない人でも、 確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができる制度です。 これは、確定申告をする必要のない給与所得者(会社員など)でも行える申告です。
給与所得者の多くは、会社が年末調整をしてくれるので、 通常は自分で確定申告はしません(年末調整と確定申告は別ものです)。 しかし、会社が行ってくれる年末調整だけでは不十分な場合に、 自分で還付申告をすることによって、税金が還付される場合があります。
- その年分の確定申告をしていない
- 税金を還付してもらうための申告
この2点が還付申告のポイントです。
還付申告の期限は、通常の確定申告期限とは関係ありません。 期限は長めに設定されており、対象期間の翌年1月1日から5年間提出することができます。
還付申告の例 - 医療費控除
たとえば、還付申告で多いケースのひとつに、医療費控除による還付があります。医療費控除は、医療費を1年間でたくさん払った場合に、税額が控除される仕組みです。
会社は、社員がどの病院に行っていくら医療費を払ったかなどは基本的に把握していないので、 医療費控除を受けたければ、自分で申告をする必要があります。 医療費控除の目安は、年間の医療費が10万円以上(生計をともにしている家族の分も含めてOK)です。
ちなみに、会社勤めの方は毎年2月頃に全国健康保険協会から「医療費のお知らせ」が会社に送られ、これが本人に渡されるはずです (前年に病院などで医療費を払った方のみ)。この「医療費のお知らせ」は、医療費控除の参考資料にはなりますが、領収書の代用にはなりません。
たとえば、2024年(令和6年)に支払った医療費に関する控除をうけたい場合は、 2025年(令和7年)1月1日から5年以内、つまり2029年(令和11年)12月31日までに還付申告をします。 年末年始は税務署が閉庁しているのでギリギリにならないよう注意しましょう。 基本的に12月29日~1月3日は税務署が閉まっています。
更正の請求・修正申告・還付申告まとめ
更正の請求・修正申告・還付申告について、ざっくりまとめると以下のようになります。
更正の請求 | 修正申告 | 還付申告 | |
---|---|---|---|
目的 | 還付のため | 追加納税のため | 還付のため |
有効 期間 |
法定申告期限から5年以内 (還付申告の更正は、還付申告書の提出日から5年以内) |
気づいたらなるべく早く申告すること | 翌年1月1日から5年以内 |
法定申告期限とは、確定申告期間の最終日のことです。 たとえば、2024年分(令和6年分)の確定申告書を提出するための法定申告期限日は、2025年(令和7年)3月17日です。 つまり、この場合は2030年(令和12年)3月18日が、更正の請求の有効期限日となります。
確定申告の必要がない給与所得者がいったん還付申告をして、 なおかつ更正の請求をする場合には、その申告書を提出した日から5年が有効期間となります。