更正の請求・修正申告・還付申告の違い
更新日 2025年5月27日

更正の請求とは?
更正の請求とは、確定申告にもとづいて納めた税金が多すぎた場合や、還付される税金が少なかった場合に、税務署に税金の還付を請求することです。要するに「確定申告をしたけどやっぱり間違えていたので、払いすぎた税金を返してください!」という手続きです。
更正の請求をおこなうケース【具体例】
- 過去の確定申告で、計上していなかった経費の領収書が出てきた
- 過去の確定申告で、売上を過大に計上してしまっていた
- 過去の確定申告で、有効な所得控除を記入することを忘れていた
例えば、医療費控除を受けるのを忘れていた場合、その年分の医療費の領収書などを用意して、更正の手続き請求を行いましょう。請求が認められれば、以前に納めすぎた税金が還付されます。
更正の請求の期限はいつまで?

更正の請求の有効期間は「確定申告期限から5年以内」です。たとえば、2025年の確定申告期限日は3月17日なので、この時の申告内容の更正を請求するには、2030年3月18日(17日が日曜のため)までに手続きを行います。
更正の請求に必要な書類
- 更正の請求書
- 請求の理由の基礎となる事実を記載した書類
「更正の請求書」に必要事項を記入して提出します。この書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。なお、手続きの内容によって必要な添付書類は異なります。個々の内容に応じて、決算書や領収書などを一緒に提出します。
>> 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続 - 国税庁
修正申告とは?
修正申告とは、確定申告にもとづいて納めた税金が少なかった場合や、還付される税金が多すぎた場合に、訂正して税務署へ申告することです。簡単にいえば「税金もっと納めなきゃいけなかったのに間違えてました!」という申告です。
修正申告が必要なケース【具体例】
- 過去の確定申告で、必要経費を実際より多く計上していた
- 過去の確定申告で、税額の計算を間違えて納税額を少なく申告していた
- 過去の確定申告で、本来は受けられない所得控除を適用していた
修正申告は、たとえば過去の確定申告で「必要経費を二重計上していた!」と気づいた場合などにおこないます。過去の確定申告で「自分に有利なミス」をしていた場合は、更正の請求ではなく、修正申告をおこなうわけです。
修正申告はいつまでにやればいい?
過去の申告のミスに気づいたら、なるべく早く修正申告をしましょう。納付が遅れたぶんの税額には「延滞税」がかかりますが、この金額は日ごとに増えていきます。また、自主的に修正申告をするよりも先に税務署から間違いを指摘されると、さらに多くのペナルティを課されてしまいます。
還付申告とは?
還付申告とは、ひとことで言うと「納めすぎた税金を返してもらうための申告」です。主に、下記のような人がおこないます。
還付申告をしたほうがいい人【具体例】
- 医療費控除や住宅ローン控除を受けたい会社員*
- 年の途中で退職して、年末調整を受けられなかった元会社員
- 所得が少ないのに、源泉徴収で税金をたくさん引かれている個人事業主
* 住宅ローン控除で還付申告が必要なのは初回のみ
会社員の多くは、会社が年末調整をしてくれるので、自分で確定申告をする必要はありません。しかし、年末調整では適用できない所得控除を受けたい場合や、そもそも年末調整を受けられなかった場合などは、自分で還付申告をすることによって税金が還付されます。
還付申告の期限はいつまで?

還付申告の有効期間は、対象となる年の「翌年1月1日から5年間」です。たとえば、2024年分の還付申告は、2029年12月31日までできます。
還付申告の例 - 医療費控除
たとえば、還付申告で多いケースのひとつに、医療費控除による還付があります。医療費控除は、医療費を1年間でたくさん払った場合に、税額が控除される仕組みです。
会社は、社員がどの病院に行っていくら医療費を払ったかなどは基本的に把握していないので、医療費控除を受けたければ、自分で申告をする必要があります。医療費控除の目安は、年間の医療費が10万円以上(生計をともにしている家族の分も含めてOK)です。
ちなみに、会社勤めの方は毎年2月頃に全国健康保険協会から「医療費のお知らせ」が会社に送られ、これが本人に渡されるはずです(前年に病院などで医療費を払った方のみ)。この「医療費のお知らせ」は、医療費控除の参考資料にはなりますが、領収書の代用にはなりません。
まとめ - 更正の請求・修正申告・還付申告の比較表
更正の請求・修正申告・還付申告について、ざっくりまとめると以下のようになります。
更正の請求 | 修正申告 | 還付申告 | |
---|---|---|---|
目的 | 還付のため | 追加納税のため | 還付のため |
有効 期間 |
確定申告期限から 5年以内 |
気づいたら なるべく早く |
翌年1月1日から 5年以内 |
ちなみに、更正の請求の有効期限は、原則として確定申告期限から5年以内ですが、「還付申告の更正の請求」をする場合は期限が異なります。たとえば、医療費控除を受けたい会社員が還付申告をして、その内容についてあとから更正の請求をする場合には、最初の「申告書を提出した日」から5年間が有効期間となります。
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