20万円?48万円?確定申告は所得いくらから必要性あり?
更新日 2024年7月25日
確定申告が必要になるボーダーラインについて調べていると、「所得48万円から」や「所得20万円から」など様々な情報が出てきます。本記事では、これらの情報をわかりやすく整理して解説します。
専業の場合は48万円・副業の場合は20万円
専業の個人事業主の場合、合計所得が48万円以下なら確定申告の義務はありません。 なお、改正前はこの数字が38万円でした。2020年分(令和2年分)から48万円に改正されています。
会社に勤めながら副業を行っている場合は、給与以外の合計所得が20万円以下なら、確定申告をしなくてOKです。 (正確には「給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であるときは、原則として確定申告を要しない」)
所得いくら以下なら確定申告の必要なし?
個人事業が専業の場合 | 会社員で副業をしている場合 |
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所得48万円以下なら 確定申告の必要なし | 副業の所得が20万円以下なら 確定申告の必要なし |
なんで年間所得48万円以下だと確定申告しなくてもよいの?
まず、ざっくりと課税所得(課税の対象になる所得)の算出方法をおさらいしておきましょう。 原則として、収入(売上)から必要経費を差し引いたものが、所得になります。
収入 − 必要経費 = 所得
そして、この所得から所得控除を差し引いた額が「課税所得」になります。
所得 − 所得控除(基礎控除を含む) = 課税所得
この所得控除のなかには「基礎控除」という項目があり、所得から48万円を差し引くことができます(一部の高所得者を除く)。 ですから、所得が48万円以下であれば、必然的に課税所得もゼロとなります。
国税庁のウェブサイトには「確定申告をする必要のある人」について、 「その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合」と明示されています。
その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、確定申告をする必要があります……(後略)……
確定申告をする必要のある方 - 国税庁
先述の通り、この所得控除の中に基礎控除という項目があり、所得が低い人なら一律で48万円を差し引くことができます。 ゆえに、合計所得48万円以下であれば、所得金額が所得控除の合計額を超えないということになります。 ですから、48万円以下の合計所得金額であれば確定申告をしなくてもよいのです。
ただし、収入500万円・必要経費480万円など、 しっかり収入もあるのに経費がかさんで所得が低くなるようなケースも考えられます。 このような場合は特に、所得が少なくても確定申告しておいたほうがよいです。
税務署は、最長7年前までさかのぼって税務調査をすることができます。 収入や経費はちゃんと帳簿につけておいて、経費の領収書などは捨てずにとっておきましょう。 いつか税務調査が入るときに、きちんと帳簿類を出せるようにしておくことが重要です。
ちなみに「個人事業税」の控除は、1年間営業すれば一律で290万円が適用されるので、こちらは事業所得290万円までは納税の必要がありません。
青色申告であれば赤字は繰り越せる
年間所得が48万円以下どころか、事業が赤字になるケースもあるかと思います。 事業所得が赤字の場合、もし他の所得があれば損益通算をして他の所得から差し引くことができます (損益通算 = 赤字を他の黒字事業の所得から控除すること)。 それでも損失が残る場合、これを純損失と言います。
白色申告では、変動所得と被災事業用資産の損失部分をのぞいて、純損失が繰り越せません。 簡単にいうと、特殊なケースでないかぎり白色申告では赤字を繰り越せません。
- 変動所得とは?
- 変動所得とは、原稿料・著作権使用料・作曲料など、その年によって変動が大きいとされる所得
しかし青色申告の場合は、純損失を全額繰り越すことができます。 もし事業所得が赤字になる場合には、赤字を繰り越して翌年以降に節税するためにも確定申告しておきましょう。
白色申告 | 青色申告 |
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繰り越せるのは「変動所得の損失」と「被災事業用資産の損失」の金額のみ(最長3年間) | 最長3年間赤字が全額繰り越せる (純損失の繰越控除) |
>> 白色申告と青色申告の違い
所得が少なくても確定申告しておいた方がよい
確定申告をしていない場合には「申告書の提出なし」として証明書が発行されます。 これでは税務署や地方自治体からすれば、その年どこで何をやっていたのか分からない人ということになってしまいます。
また、国民健康保険料の算定や純損失の繰越、消費税の課税事業者など、 その年分の所得が48万円以下であっても申告をしておいたほうがよいケースはあります。
例えば、国民健康保険料は確定申告をしていない人(住民税の申告が出ていない人)は、 「無申告」として、所得が不明の場合の一定額が適用されます。 合計所得48万円以下の場合には、この一定額よりも納税額が低くなる可能性が高いので、 確定申告をして「商売やってるけどあんまり儲かってないんです」という事を示しておいた方がよいのです。
所得が低くなってしまったことを税務署や地方自治体にアピールしておいて損はありません。 たとえ48万円以下の所得金額となっても、確定申告しておくことをおすすめします。
帳簿づけと確定申告書類の作成は面倒な作業ですが、個人事業主向けの会計ソフトを使えば帳簿づけが簡単になり、 確定申告書類の作成の大部分はソフトが自動で行ってくれます。
>> 個人事業主向けの会計ソフト【比較一覧】
>> 確定申告の流れと個人事業主の税金納付時期をおさらい
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