所得税や消費税のキャッシュレス納付【個人事業主向け】

更新日 2024年1月17日

所得税や消費税のキャッシュレス納付【個人事業主向け】

個人事業主の「所得税」や「消費税」は、現金納付のほか、口座振替やインターネットバンキング、スマホ決済やクレジットカード払いでも納付できます。ただし、電子マネーには基本対応していません。

キャッシュレス納付の方法【一覧】

個人事業主の所得税や消費税は、現金以外でも納税できます。これを「キャッシュレス納付」といいます。キャッシュレス納付の方法は、大きく「振替納税・スマホアプリ納付・クレジットカード納付・電子納税(e-Tax)」の4つに分けられます。

キャッシュレス納付の方法(所得税・消費税など)

振替納税 銀行口座から引き落とし
スマホアプリ納付 専用サイトで決済アプリのチャージ残高から納付
クレジットカード納付 専用サイトでカード払い(約0.8%の手数料)
電子納税 ダイレクト納付 銀行口座から引き落とし(e-Taxで日付を指定)
登録方式 ネットバンキングやATMで納付(要登録)
入力方式 ネットバンキングやATMで納付(登録不要)

電子マネーには対応していない

Suica・QUICPayなどの「電子マネー」は、所得税や消費税の納付には基本的に対応していません。ただし、電子マネー「nanaco」なら、地方税の納付は可能です。

① 振替納税

決済手段 預貯金口座からの振替
事前手続き 納期限までに「振替依頼書」を提出
・書面……………税務署か金融機関へ
・オンライン……e-Taxソフトで
振替日 4月中旬ごろ
手数料 かからない

初めて振替納税を利用する際は、以下の期限日までに「振替依頼書」を提出しておきましょう。いつも利用している銀行などで提出するのが手っ取り早いです。翌年からは、依頼書を出さなくても自動で引き落とされます。

2022年の期限日・振替日

期限日 振替日
所得税 3月15日(火) 4月21日(木)
消費税 3月31日(木) 4月26日(火)

通常は上記の期限日までに納付しなければならないので、実質的に納付を約1ヶ月延長できることになります。ただし、残高不足などで引き落としに失敗すると、延滞税がかかる場合があるので注意しましょう。

ちなみに、ネット銀行(楽天銀行やPayPay銀行など)は、振替納税に対応していない場合が多いです。振替納税には、実店舗のある金融機関を利用しましょう。

② スマホアプリ納付

決済手段 スマホ決済アプリのチャージ払い
事前手続き 不要
決済日 所得税:原則3/15まで
消費税:原則3/31まで
手数料 かからない

所得税や消費税をスマホ決済アプリで納付するには、「国税スマートフォン決済専用サイト」から行う必要があります。窓口やコンビニに行かなくても、自宅でスマホから納税が可能です。

スマホアプリ納付では、事前にチャージした分から納税します。そのため、たとえば「クレジットカード払い」や「後払い」などの支払い方法は使えません。

納付に使えるスマホアプリ

PayPay PayPayポイントの付与あり
(200円につき1ポイント)
d払い ポイント付与なし
楽天ペイ ポイント付与なし
au PAY Pontaポイントの付与あり
(200円につき1ポイント)
LINE Pay ポイント付与なし
メルペイ ポイント付与なし
Amazon Pay ポイント付与なし

スマホアプリでの納税によってポイントがもらえるのは、現時点では「PayPay」と「au PAY」のみです。ただし、それ以外のアプリでも、チャージ時にポイントを獲得できる可能性はあります。

③ クレジットカード納付

決済手段 クレジットカード払い
事前手続き 不要
決済日 所得税:原則3/15まで
消費税:原則3/31まで
支払日 クレカの契約内容による
手数料 納付額1万円ごとに税込83円

所得税や消費税をクレジットカードで納付するには、「国税クレジットカードお支払サイト」から行う必要があります。窓口やコンビニではクレカ納付できません。

納付期限日までに専用サイトで決済すれば、期限内に納付したことになります。たとえば「20日締め・翌10日払い」のカードで、3月15日に決済したら、実際の支払いは4月10日まで先送りできるわけです。

国税クレジットカードお支払サイトの手数料

納付額 手数料 (税込)
10,000円以下 83円
10,001円~20,000円 167円
20,001円~30,000円 250円
30,001円~40,000円 334円
40,001円~50,000円 418円

※ 以降も1万円ごとに83円の手数料が加算される

クレジットカード納付の手数料は高く、納付額1万円ごとに税込83円かかります。ただ、クレカの種類によってはポイント還元を受けられるので、還元率によってはお得に利用できる場合もあります。

>> ビジネスカードの還元率を比較!個人事業主向けクレジットカード一覧

④ ダイレクト納付(電子納税)

決済手段 預貯金口座からの振替
事前手続き 「ダイレクト納付利用届出書」を提出する
・書面提出……………約1ヶ月前まで
・オンライン提出……約1週間前まで
決済日 所得税:原則3/15まで
消費税:原則3/31まで
e-Taxの登録 必要
手数料 かからない

「ダイレクト納付」は、e-Taxで振替日を指定し、銀行口座から引き落としてもらう方法です。ただし「振替納税」とは異なり、期限を先延ばしにするような効果はありません。通常の納付期限までに引き落としを済ませましょう。

初めてダイレクト納付を行う場合は、事前に届出が必要です(次回からは不要)。といっても、個人事業主があえてダイレクト納付を選ぶメリットはないので、無理に利用しなくてOKです。

「予納ダイレクト」とは?

「予納ダイレクト」とは?

「予納」とは、確定申告する前に、任意で納税することをいいます(予定納税とは別物)。国税庁は、ダイレクト納付による予納のことを「予納ダイレクト」と呼んでいます。

⑤ 登録方式(電子納税)

決済手段 ネットバンキングやATMから払い込み
事前手続き 「納付情報データ」の登録が必要
決済日 所得税:原則3/15まで
消費税:原則3/31まで
e-Taxの登録 必要
手数料 基本、かからない(金融機関による)

「登録方式」では、e-Taxを使って納付情報を登録する必要があります。登録後、e-Taxのメッセージボックスに「納付区分」の番号などが届いたら、インターネットバンキングやATMで納付手続きができます。

「納付区分」の確認画面 - e-Tax

納付区分の確認画面(e-Tax) - 登録方式の電子納付)

Pay-easy(ペイジー)に対応した金融機関を使っている個人事業主は、「登録方式」か「入力方式」で電子納税できます。通常の金融機関のほか、楽天銀行やPayPay銀行など、一部のネット銀行も対応しています。

⑥ 入力方式(電子納税)

決済手段 ネットバンキングやATMから払い込み
事前手続き 不要
決済日 所得税:原則3/15まで
消費税:原則3/31まで
e-Taxの登録 必要
手数料 基本、かからない(金融機関による)

「入力方式」では、e-Taxの登録さえ済んでいれば、納付情報の登録は不要です。ただし、自分で作成した「納付目的コード」を入力する必要があります。

「納付目的コード」の作成方法(簡易版)

納付目的コードとは? - 入力方式の電子納付

その他の税目など - e-Tax(公式)

たとえば、令和3年分の確定申告で所得税を納めるとき、納付目的コードは「3204503」です(復興特別所得税を含む場合)。このコードをPay-easyの「納付区分」欄に入力します。

まとめ

所得税・消費税を現金以外で納付する方法は「振替納税・スマホアプリ納付・クレジットカード納付・電子納税」の4つに大別できます。多くの個人事業主におすすめできるのは「振替納税」です。

キャッシュレス納付の方法【特徴まとめ】

振替納税 納付期限を実質的に約1ヶ月延長できる
スマホアプリ納付 手数料をかけずに、手軽に納付できる
クレジットカード納付 ポイント還元でお得になる場合がある
電子納税(e-Tax) ネット銀行でも利用できる場合がある

「振替納税」は、ポイント還元等は受けられませんが、手数料なしで納付期限を1ヶ月先延ばしできます。引っ越しなどで所轄の税務署が変わらない限り、毎年自動で引き落とされます。

「スマホアプリ納付」は、とにかく手軽なのが特徴です。専用サイトは夜間・休日もアクセスできるので、忙しくて納付に行けない人でも、スマホ1台でサクッと納税を済ませられます。

「クレジットカード納付」は、納付額1万円ごとに税込83円の手数料がかかります。これを上回るポイント還元を受けられれば、お得に利用できます。
>> ビジネスカードの還元率を比較!個人事業主向けクレジットカード一覧

「電子納税(e-Tax)」は、とくにメリットもないので無理に利用しなくてOKです。まれに手数料がかかる場合があるので、利用する前によく確認しましょう。

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