個人事業主の所得 - 最も重要なのは事業所得
更新日 2024年7月06日
所得税法における10の所得区分
所得税法では、所得が10種類に分けられています。個人事業主にとって最も重要なのは「事業所得」です。 個人事業を通じて生じる所得は、大体がこの事業所得に当てはまります。
所得の種類 | 概要 |
---|---|
利子所得 | 預貯金や公社債の利子など |
配当所得 | 株主や出資者が、法人から受けとる配当など |
不動産所得 | 土地や建物などの貸し付けによる所得 |
事業所得 | 事業から生まれる所得(収入 − 必要経費 = 所得) 多くの個人事業主にとってのメインはこの事業所得 |
給与所得 | 勤務先から受ける給料や賞与 多くの会社員やフリーターにとってのメインはこの給与所得 |
退職所得 | 退職によって勤務先から受けとる退職金など |
山林所得 | 山林を伐採したものなどを譲渡した場合に生じる所得 |
譲渡所得 | 土地・建物・株式など、資産の譲渡による所得 |
一時所得 | 上記8つの所得に当てはまらない一時的な所得 |
雑所得 | 上記9つの所得に当てはまらない所得 |
所得の種類に応じて、所得の計算方法は異なります。10種類の所得について、もう少し詳しく踏み込んだポイントについては、下記のページにまとめています。
総合課税と分離課税
最終的に他の所得と合算し、納める税額を算出するのが「総合課税」です。「事業所得だけで生活しており、株には事業レベルで手をつけていない」という個人事業主は、総合課税だけ理解しておけば十分です。一方、他の所得と合算せず、それ単体で税額を算出することを「分離課税」と言います。
課税の種類
総合課税 | 分離課税 |
---|---|
他の所得と合算して税額を算出する | 他の所得と合算せず税額を算出する |
所得に応じて、どちらの課税方法の対象になるかは定められています。たとえば「事業所得(株をのぞく)」や「給与所得」は、総合課税の対象です。「山林所得」は分離課税の対象です。
分離課税には、「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類があります。申告分離課税の対象になる所得は、基本的に確定申告を行います。一方、源泉分離課税の対象になる所得については、それを得る時点ですでに税金が差し引かれているので、確定申告を行う必要はありません。
分離課税の種類
申告分離課税 | 源泉分離課税 |
---|---|
自分で税金を計算して確定申告を行う | 所得を受け取る時点ですでに税金が差し引かれているので、確定申告の必要がない |
所得税の計算方法について
個人事業においては、事業の収入から必要経費を差し引いたものが、事業所得になります。 これが個人事業主にとってのメインとなる所得です。 もし事業所得以外にも所得がある場合にはそれらを合算し、合計所得をもとめます。
- 合計所得の計算
- 収入 − 必要経費 = 事業所得
事業所得 + その他の所得 = 合計所得
この合計所得から所得控除を差し引いて、課税の対象になる所得金額をもとめます。 それに税率をかけて、控除額を差し引き、所得税の金額を算出します。
- 所得税の計算式
- 合計所得 − 所得控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 控除額 = 所得税額
>> 所得税の計算例など詳細はこちら
「所得控除」というのは、個々の生活状況に応じて税負担を軽くしてあげるためのものです。 例えば、国民年金の納付額は「社会保険料控除」として支払った金額が控除されます。 あるいは、配偶者(妻や夫)を養ってあげている方は「配偶者控除」として、所得から一定額が控除されます。これにより、納めるべき税金が少なくなるわけです。 >> 個人事業主の所得控除一覧
課税所得金額と税率・控除額の関係については、下表を参考にして下さい。
課税所得金額と税率・控除額(平成27年分以降)
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
1,800万円 〜 4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
900万円 〜 1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
695万円 〜 900万円 | 23% | 636,000円 |
330万円 〜 695万円 | 20% | 427,500円 |
195万円 〜 330万円 | 10% | 97,500円 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
(「〜」は「超 〜 以下」)
例えば、課税所得金額が300万円の場合、下記のように所得税を計算します。
300万円 × 10% − 97,500円 = 202,500円
この場合は、納付する所得税が202,500円ということです。 なお、平成25年から令和19年までは、所得税に加えて復興特別所得税(2.1%)も合わせて納付することになっています。