不動産所得とは?事業所得との違いなど
更新日 2024年7月09日
不動産所得とは?
不動産所得とは、主に土地や建物などの貸し付けによる所得のことをいいます。身近な例では、マンションの大家さんが受け取る家賃収入です。その他、不動産に関わる地上権や、船舶・航空機の貸し付けによる所得も、不動産所得として扱われます。
不動産所得に該当する所得
- 土地や建物など、不動産の貸し付け
- 借地権など、不動産に付随する権利の設定や貸し付け
- 船舶や航空機の貸し付け
家賃収入から派生する、賃貸物件の更新料なども不動産所得になります。 その他、広告のために土地や建物の一部を利用させることにより受け取る対価も、不動産所得に含まれます。
事業的規模の目安
不動産所得は、不動産の貸し付けが事業的な規模で行われているかどうかによって、所得計算が異なります。 建物の貸し付けが事業的規模として認められるには、以下のいずれかに当てはまるのが目安とされています。
事業的規模の目安
- 賃貸物件としてアパートなどの部屋をおよそ10部屋以上持っている場合
- 一軒家などの家屋を賃貸用としておよそ5棟以上もっている場合
上記の基準で判定できない不動産の場合、社会通念に照らし合わせて、事業的な規模であるかが実質的に判断されるかたちになります。
事業的規模のメリット・デメリット
青色申告特別控除の金額や必要経費の計上において、事業的規模の方が有利になります。
事業的規模であることのメリット
事業的規模 | それ以外の場合 | |
---|---|---|
青色申告特別控除 | 最高65万円 | 最高10万円 |
専従者の給与 | 必要経費として認められる | 必要経費として認められない |
建物の取り壊し・除却費用 | 全額が必要経費として認められる | 上限付きで必要経費として認められる |
家賃などの回収不能による貸倒損失 | 回収不能となった年分の必要経費に計上できる | 収入に計上した年分までさかのぼって申告をし直す |
専従者とは、個人事業主の仕事を手伝ってくれている家族などのこと
事業的規模になると、上記のメリットを享受できますが、同時に下記のデメリットもあります。
事業的規模であることのデメリット
不動産所得の必要経費について
不動産関連の総収入額から、必要経費を差し引いた金額が「不動産所得」となります。
- 不動産所得の計算方法
- 総収入金額 − 必要経費 = 不動産所得の金額
不動産所得において認められる主な必要経費は、下記のようなものです。
勘定科目 | 具体例 |
---|---|
租税公課 | 固定資産税、不動産所得税、事業税、都市計画税など |
損害保険料 | 火災保険料、地震保険料など |
減価償却費 | 建物や船舶などの減価償却費 |
修繕費 | 壁紙や畳の張り替え費用、外壁の塗り替え費用、水回り・エアコンの修理費など |
借入金利子 | 不動産の取得にあたりローンを組んだ場合の支払い利息部分 |
管理費 | 入居者の募集や管理をしてくれる不動産屋や、管理会社に支払う管理料など |
その他、不動産経営に関わる交通費や通信費、接待交際費なども必要経費に計上することができます。
修繕費の定義について
修繕費として経費に計上できるのは「現状維持のための修繕費」に限られています。 部屋の改装や改造、ベランダや階段をあとから取り付けるなど、固定資産の価値を高めて耐用年数を増やす修繕については、修繕費と認められません。これらは「資本的支出」と呼ばれ、修繕費とは区別されます。 >> 修繕費とならないものの判定 - 国税庁
不動産所得の確定申告について
個人事業主や会社員などの中には、個人で投資用のマンションを購入し、貸し出ししている方もいるのではないでしょうか。 会社員などの給与所得者であっても、不動産所得がある場合は確定申告が必要になります。
ただし、給与所得の年末調整後に、副業の所得(不動産所得やその他の所得)が20万円以下であれば、申告の必要はありません。
大きな修繕などが発生し、不動産所得が赤字になった場合には、給与所得と損益通算できることになっています。他の所得と損益通算をすることで所得税が還付される場合もあります。
まとめ
不動産所得は、おもに家賃収入などがある人が申告する所得です。固定資産税をはじめ、損害保険料や修繕費など不動産にまつわる必要経費の計上が認められています。
また、不動産の収入を事業的規模として申告するためには、少なくともその目安を満たしていなければなりません。事業的規模であれば、個人的な小さい不動産所得に比べると、税金を算出するうえで有利になります。
不動産所得のある人は、会社員でも確定申告が必要です。確定申告の際は、青色申告を選んだほうが有利になるので、余裕があれば青色申告の申請を出しておきましょう。