個人事業主の税金 - 計算方法や控除額、納付時期など

更新日 2024年7月25日

個人事業主の税金まとめ

個人事業主の主な税金と納付時期

個人事業主が納める主な税金は、所得税・消費税・住民税・個人事業税の4種類です。 税金によって、納付する時期や納付方法が異なります。 >> 個人事業主が納める税金の種類

主な税金と納付期限日

原則的な納付期限日
所得税3月15日(その年の確定申告の提出期限日)
消費税3月末日
住民税6月末日、8月末日、10月末日、翌年1月末日
個人事業税8月末日、11月末日

納付期限日が土日祝日の場合は、翌平日

所得税と消費税は、事業者が自ら納付額を計算して納めます。 住民税と個人事業税は、分割で納付するのが基本です。いずれも、納付の必要があれば納付書が郵送されます。 住人税は原則として4回に分けて納め、個人事業税は2回に分けて納めます。
>> 個人事業主の税金納付時期について

所得税

毎年の確定申告期間が原則2月16日~3月15日で、所得税は確定申告の期限日、つまり3月15日までに納付します。確定申告をしてすぐに納めるのが所得税というわけです。(期限日が土日祝日と重なる場合は、期限がずれます。)

所得税の計算式
収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 控除額 = 所得税額

収入から必要経費と各種控除を差し引いて、課税所得金額を算出します。 この課税所得金額に応じて、税率と控除額が決定します。 各種控除についてはこちらを参照してください。 >> 個人事業主の所得控除一覧

所得税の速算表

課税所得金額税率控除額
195万円未満5%0円
195万円以上 330万円未満10%97,500円
330万円以上 695万円未満20%427,500円
695万円以上 900万円未満23%636,000円
900万円以上 1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円以上 4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

平成27年分〜令和6年分の所得税率

>> 個人事業主の所得税 - 計算例や控除額の詳細について

消費税

消費税は、納めなくてもよい個人事業主も多いです。 以下のどちらかだけでも当てはまる場合、基本的には消費税を納付する必要がありません。

  • 開業してから2年以内の個人事業者
  • 前々年の課税売上高が1,000万円以下の個人事業者

開業して間もない個人事業主は、消費税を納付する必要がありません。また、開業してからある程度期間を経ていても、前々年の課税売上高が1,000万円に満たない場合には、消費税を納付する必要がありません。

ただし、前年の上半期だけで課税売上高1,000万円を超え、なおかつ、この期間の給与等の支払い金額も1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります。たとえ開業してから2年以内であっても、半年で1,000万円を超える売上があるような個人事業主は、消費税の納付について慎重に調べる必要があるということです。

消費税を納付する必要がない事業者を「免税事業者」と呼びます。免税事業者は、売上とともに預かった消費税を税務署へ納付せず、そのまま受け取ることができます。
>> 消費税の免税事業者と課税事業者について

消費税の基本的な計算式
受け取った消費税 − 支払った消費税 = 消費税の納税額

消費税は、売上と共に受け取った消費税を全て納付するわけではなく、 仕入れや経費などで支払った消費税を差し引いた金額を納税します。

例えば、売上と共に年間150万円の消費税を預かり、仕入れや経費などの出費で80万円の消費税を支払った場合には、70万円の消費税を納付します。(150万円 − 80万円 = 70万円)

上記は消費税の基本的な計算方法ですが、 状況によって様々な計算方法があるので、詳しくは以下のページを参考にして下さい。 >> 納付する消費税の計算方法について

住民税

納付する住民税の内訳には「均等割」と「所得割」あります。 この均等割と所得割の合計金額を、住民税として納付します。 とはいえ、住民税は自治体からの通知書にしたがって納めるものであり、納税額を自分で計算する必要はありません。 内訳に興味のない方は、読み飛ばしてください。

均等割

所得の多寡に関わらず、みんな平等の金額が課されるのが「均等割」です。 現在、東京都に住んでいる場合の均等割は年額5,000円です。 大体の地域で、均等割は年額およそ4,000円 ~ 5,000円です。

所得割

納税者の所得に応じて金額が異なるのが「所得割」です。 ほとんどの地域では、住民税の所得割の税率が合計10%です。

住民税 所得割の基本的な計算式
(所得金額 − 所得控除額)× 10% − 税額控除額 = 所得割の税額

所得控除については、所得税の計算と同じくこちらを参考にして下さい。>> 所得控除一覧

青色申告者の特典である青色申告特別控除も、住民税の計算に反映されます。 税額控除額とは、他の税金との二重課税を調整するなどの理由で差し引かれる控除額です。

個人事業税

個人事業税は、個人事業に特有の税金です。個人事業税を納付するべき事業者には、毎年8月頃に地方自治体から通知書が郵送されます。個人事業税も、自治体からの通知書にしたがって納税します。自分で税額を計算する必要はありません。

事業主控除290万円

個人事業税は、事業主控除として年間290万円が控除されます。つまり、1年間働いて事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税を納める必要がありません。個人事業税を納める必要がない個人事業者には、通知書が送付されません。

新規開業などで営業期間が1年未満の場合は、290万円の控除が月割となります。 例えば年の途中に新規開業して、その年に6ヶ月しか営業していない場合には、控除額は145万円になります。

個人事業税の計算式
(収入 − 経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 = 個人事業税

専従者給与等とは、事業を手伝ってくれている専従者(家族従業員など)への給与のことです。 一人で仕事をしている個人事業主には関係のない項目です。 専従者がいる場合には、 一定額を必要経費として控除できます。

個人事業税の計算式の「各種控除」に当てはまるのは、 一律で適用される「事業主控除(290万円)」と、状況に応じて適用される3つの「繰越控除」です。 基礎控除などの所得控除青色申告特別控除は、個人事業税には反映されません。

繰越控除

  • 損失の繰越控除(青色申告者で、赤字となった時)
  • 被災事業用資産の損失の繰越控除(白色申告者で、震災などによって損失がある時)
  • 譲渡損失の控除と繰越控除(機械などの事業用資産を譲渡したために損失が生じた時)

個人事業税の税率は3%~5%

個人事業税の税率は業種によって異なりますが、多くの場合は税率5%です。

税率業種
5%その他多くの業種
4%畜産業・水産業・薪炭製造業
3%あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業

税金の納付方法

所得税と消費税(一部は地方税)は国税、住民税と個人事業税は地方税です。 国税と地方税では、税金の納付方法などが少々異なります。

国税地方税
所得税・消費税(消費税の一部は地方税)住民税・個人事業税

地方税である住民税と個人事業税に関しては、納付する必要がある個人事業主に対して納付時期の前にあらかじめ納税通知書が送られてきます。この納税通知書の指示にしたがって税金を納付しましょう。

国税である所得税と消費税に関しては、特に通知書が送付されるわけではありません。 自分で計算した金額を、所定の方法で納付することになります。>> 所得税と消費税の納付方法について

税金を納付した場合の帳簿づけ方法・勘定科目

納付した税金は、経費にできるものと経費にできないものがあります。基本的に、事業運営に必要な税金は経費にできますが、事業主本人に課される税金は経費にできません。

個人事業税は事業に課される税金であり、納付した税金は必要経費として計上できます。この場合の勘定科目は「租税公課」です。もし消費税を納付する場合は「税込経理方式」をとるか「税抜経理方式」をとるかによって、仕訳の仕方が異なります。>> 納付する消費税の仕訳について

一方、所得税と住民税は事業ではなく事業主個人に課される税金であり、経費にすることができません。もし事業用に使っている口座などから所得税や住民税を納付したら「事業主貸」の勘定科目で仕訳しておきましょう。事業主のプライベートな支出として処理するわけです。

経費にできる税金とできない税金の例

租税公課」として経費にできる支出の例事業主貸」として処理する支出の例
  • 個人事業税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 商工会議所の会費
  • 同業者組合の組合費
  • 所得税
  • 住民税
  • 予定納税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 罰則的な意味合いの税金
    (延滞税・加算税など)